眠れない日に6切れ130円の食パンを焼きながら書くこと
私は寝つきが悪い。
毎日、26時頃になると寝る時間の計算を始める。
明日は10時には起きなければいけない、なら最低でも6時間寝るとして、4時には寝始めなければいけない。じゃあ今からお風呂に入って、3時にはベッドに入ろう。
というような計算だ。
ベッドに入ってから一瞬で寝られたのはいつまでだっただろう。いつから、横になってからのあの何もない、ただ不安に襲われるだけの時間を過ごすのが当たり前になってしまったんだろう。
ホットミルクを飲むと良いらしい 寝る前に画面を見るのをやめれば良い 足元を温めると良いらしい
良いらしい、そう言われたものは全て試した。蒸気でホッとアイマスクも箱買いしたが、あまりの効果のなさに使い切れずにいる。
今日もまたこれから、ベッドに入ってから寝るまでのあの恐ろしい時間が待っている。
暇だけど目を開いて何かをしてはいけないから自然と考え事ばかりしてしまうあの時間が。
明日は何時に新宿に着けば良いんだろう、、出口まで迷うかもしれないから早めに着こうかな あああと電車も遅れるかもしれないからもっと早い方が良いかな
あれ?そもそも服装って本当に私服で良いのかな もう服決めちゃったけど、起きてからまた 面接 オフィスカジュアル 冬 で検索して確認しようかな、、
この前あの人は何着て面接行ったって言ってたっけ てかなんであの人は面接前とかもあんなに普通でいられるのかな 前日に焦って 逆質問 例 とか検索したりしないのかな
でもあの人はああいう人だもんな なんか自信があるよな、てかそういう人が勝つんだろうな いや私も自信はあるけどななんだろうなんでうまくできないんだろう
ていうかなんかおでこ痛くなってきた えー偏頭痛かな薬飲もうかなでも今日他の薬飲んだしなあ でも起きて悪化してたらいやだしなあ
てか寝れなかったら絶対悪化するじゃんいつまで寝れないんだろう 電車の時間もう一回調べようかなでも画面見たら余計眠れなくなるしなあ
えーでも明日何時に着けば良いのかな 出口まで迷うかもしれないから早めに....
こんな思考を、30分ほど続ける。
途中で呼吸を整えて見たりもする。4秒鼻から吸って、7秒息を止めて、8秒口から吐き出す、そんな呼吸を10回ほど繰り返して、飽きてまた浅い呼吸に戻る。
そして最近引っかかっていた「彼氏が飲み会の写真ばかりSNSにあげる件」について考え始めてしまう。こんな理由があるのかも、こうなのかも、でもやっぱり気になるしいやだから言おうかな、でもまた面倒臭がられるからやめようかな でもこのままじゃ同じことの繰り返しだしな...
そんなくだらないことを考えているうちに、ふと、起きているのに目が覚めた、そんな感覚に襲われる。
あれ?私寝てないよね、、?考え事続いてたし。あれ、でも今何について考えてたっけ、、?
そう思って時計を見ると、針は4時半を指している。30分ほど軽い眠りに落ちていたらしい。でもそれは本当の眠りではない。疲れは蓄積され、思考は暗くなり、眠れない恐怖が募る。
今から寝ても眠れるのは4時間か 面接前に気持ち悪くなったらどうしよう キャンセル時の連絡先確認しておこうかな インフルになったって言えばいいかな
そういえばインフルの予防接種の効果ってもう出てるのかな そう言えば今日隣に座ってた人すごい咳してたけど大丈夫かな 明日紅茶飲もうかな 紅茶ってどれくらいインフルに効果あるんだろう そういえば紅茶って...
そしてまた目が覚める。時刻は7時50分。
寝ぼけたまま、自分の意思とはもうほとんど関係なく立ち上がり、狭いキッチンに向かう。
冷凍庫から冷凍ご飯を取り出し、何の感情もないままそれを解凍して、おにぎりにしてその場で食べる。
お腹が満たされた状態でベッドに戻る。この時だけは考え事をする間もなく眠りにつき、9時半頃まで眠ることができる。
目を覚まして、カーテンを開ける。LINE→インスタ→twitter→LINE→インスタ と繰り返して、そろそろ準備するかと思い立ち上がる。キッチンの横を通ると、おにぎりに使ったサランラップが置いてある。また食べたんだ。自分に驚く。
1日が始まる。
今日もまた、普通になりたいだけなのに、普通になれない。